中央経済社から「社長がボケた。 事業承継はどうする?」を企画出版しております。
本書の目次や補足内容をこちらのページに掲載いたします。
目次
第1章 本当に怖い!社長が認知症になったら
1.社長の法律行為に潜む認知症リスク
2.社長の地位が脅かされる認知症リスク
3.会社の法律行為に潜む認知症リスク
4.社長の個人資産に潜む認知症リスク
第2章 事業承継の場面で生じる認知症のリスク
1. 認知症の影が忍び寄る事業承継の現場
2.生前に事業承継ができなくなる!?
3.緊急事態発生! 会社がデッドロック……
第3章 これからの事業承継対策は、3D対応で!
1.事業承継を成功に導く「3つのD」
2.デッドラインの設定は、スリーステップ・ターン!
3.デッドロック視点の事業承継対策
第4章 まだできることがある!?社長が認知症になった後にやること
1.判断能力を失った後にできることは限られる
2.社長が認知症になった後の会社の対応
3.最高裁が見解を示した!「親族後見人が望ましい」
第5章 転換期を迎えた!?「親族後見人が望ましい」成年後見の実務
1.申立てをする前に、制度を十分に理解する
2.クリティカル・シンキングをする!
3.申立てをする前に、対策を十分に行う!
第6章 外れを引かない!事業承継の専門家の選び方
1.事業承継の専門家とは
2.探せ! カメレオン侍!
成年後見制度について
誰を成年後見人にするかは、家庭裁判所が決定します。これまで、親族以外が成年後見人に選任されることがほとんどでしたが、2019年(令和元年)3月18日、最高裁が「成年後見人には親族が望ましい」とする見解を示しました。
本書では、この最高裁の見解が示される前に、申立てから2週間程度で、希望どおり親族後見人のみ選任された事例を取り上げています。
信託について
信託法研究の第一人者である故四宮和夫先生の御著書に次の文章があります。
「信託は、その目的が不法や不能でないかぎり、どのような目的のためにも設定されることが可能である。したがって、信託の事例は無数にありうるわけで、それを制限するものがあるとすれば、それは、法律家や実務家の想像力の欠如にほかならない。」(信託法〔新版〕(有斐閣、 1989)15頁)
「想像力の欠如にほかならない」という末尾の文章に目が行ってしまうかもしれませんが、冒頭の「その目的が不法や不能でないかぎり」という部分を注視する必要があります。
ときに、信託は自由度の高い財産管理の手法といわれることがありますが、信託が無効とされる裁判例も出ています。
信託が終了するまで、しっかりと管理できるように、設計することが重要です。
会社法について
2019年(令和元年)12月4日に、会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)が成立しました(同月11日公布)。公布の日から1年6月以内の政令で定める日から施行されることが予定されています。
成年後見人(もしくは保佐人)が付されると、取締役の欠格事由に該当し、取締役退任となります。この欠格条項が排除されることになりますが…。続きは本書で取り上げています。